
2024年 年度賞
総評 山﨑友也
今年度も個性的で独創性のある作品が多く集まりました。
なかには攻めすぎて鉄道写真なのかどうか分かりかねる作品もいくつか見受けられましたが、それがその人の感性なので基本的にはその方向性で良いと思います。
それを含め、近年ではもっともレベルが高かったかと思います。
最優秀賞 窪田稔 「ハーヴェストムーンが通ります。」

太陽と違って月、しかも満月は、撮影するのには非常に苦労を要する被写体です。
しかも踏切の警報機が灯っているタイミングで、よく撮れたと思います。
そして月を列車に見立てたタイトルもウィットに富んでいてセンスを感じます。
とにかく素晴らしい一枚です。
第一席 福田光昭 「行って来ます!」

人を撮ることに躊躇する会員が多いなか、ストレートに狙ったインパクトのある作品でした。
観光列車のスタッフで、かつ窓越しというのもあって撮れたのだとは思いますが、旅の楽しさやワクワク感が伝わってきます。
第二席 溝渕博 「雨に濡れる駅」

まず、普段あまり撮らないであろう雨の日に行動したこと。
そしてライトが灯り始めた夕暮れの時間に撮影されたこと。
さらに絞りを絞って窓に流れる雨のようすを表現したこと。
それらすべてが相乗効果をもたらし、良い作品につながりました。
なかなかマネのできることではありません。
第三席 山内真弓 入り日燃ゆ

画面の上部は架線の上でカットされ、逆に下の川面を多く取りいれたアングルです。
つまりあらかじめ列車の反射が川面にも反射することを想定して撮影されています。
ベタなようで、実はかなり事前に考えられ、巧みに撮られているということが想像されます。
第四席 木村正一 「入線」

多くの人は車両の顔に光が当たっているカットを選ぶでしょうが、あえて影になっているものを選ぶことで列車の存在感を薄め、代わりに画面右にいる駅員のシルエットが強調されました。
これにより単なる列車メインの入線シーンではなく、スナップ的要素が加わりました。